煙突に対するエコベストの性能
耐熱性能
アスベスト建材を用いてJIS A 1304に準じた条件で、840度まで加熱し、アスベストに付着したエコベストの剥離状況を検証した。
結果は、エコベストの被覆が確認されたことから耐熱性に優れているため、煙突の稼働時に発生する熱に対応が可能。
※東北大学大学院理学研究科 耐熱試験 結果
耐久性能
アスベスト建材を用いてJIS K 5658に近しい条件で硫酸を用いて、アスベストに付着したエコベストが剥離するか否かを検証した。
結果は、エコベストの被覆が確認されたことから耐酸性性能に優れているため、雨(酸性雨)の影響を受けない。
※東北大学大学院理学研究科 耐酸性試験 結果
対策工事の選択①
煙突用石綿含有断熱材の対策は、大きく分けて2つの工事があります。
①煙突用石綿含有断熱材の除去工事
②煙突用石綿含有断熱材の封じ込め工事
※CAS工法は封じ込めに該当
煙突用石綿含有断熱材を対策する工事の判断基準は?
Answer
建物をどのように考えているかで工事選択が異なります。
・「継続して煙突を使用したい」「近年に建物解体を考えていない」場合・・・
→煙突用石綿断熱材の封じ込め工事(CAS工法)をお勧め致します。
・「今後煙突を使用しない」「数年後に建物解体を考えている」場合・・・
→煙突用石綿断熱材の除去工事をお勧め致します。
対策工事の選択②
煙突用石綿断熱材を対策する最善策とは?
Answer
工法のメリット・デメリットを理解して対策する事が大事です。
・封じ込め工事は・・・
ボイラーの稼働停止を最小限に対策ができ、短工期、低コストだが、煙突解体時にはアスベスト除去工事が必要になる。
・除去工事は・・・
煙突解体時にはアスベストに関する工事が不要になるが、煙突を再度使用する方針の場合、アスベスト除去後に煙突断熱材の代替被覆復旧工事が必要になるため、高コスト及び長期間のボイラー停止を余儀なくされる。
・改修工事(煙突の継続使用)では、封じ込め工事を行う。
・建物を解体(煙突を今後使用しない)する際には除去工事を行う。
施工方法(封じ込め)
CAS工法による封じ込め処理
①煙突内部専用噴霧器
360°噴霧可能な専用機器を用いて
封じ込めを実施する。
②煙突内部専用カメラ
専用噴霧器にカメラを設けているため、
噴霧状況を確認可能。
施工方法例(除去・復旧)
ウォータージェット工法による除去処理
①ウォータージェット除去
高圧水洗機器を用いて
高水圧で石綿除去を実施する。
②廃石綿回収
高水圧で落下した廃石綿を回収する。
③ライニング材(代替被覆)
対象用に製造した代替被覆材。
④ライニング材取り付け
細かく分けて煙突に入れ込み、
モルタル等で固定する。
メリットとデメリット(封じ込め)
CAS工法による封じ込め処理
メリット
- 封じ込め作業中も、アスベスト粉塵が舞うリスクが非常に低い。
- 断熱材代替被覆などの復旧工事が発生しない為、工期が大幅に短縮される。
- 除去工事(代替被覆復旧含む)と比較して、トータルコストが安価。
更に…CAS工法(建審証1201号)で施工した場合は、
①封じ込め作業時以外は、煙突の稼働を停めずにアスベスト処理が可能。
それにより施設稼働の影響を最小限に施工を行うことが出来る。
デメリット
- 現行法では建物解体時にアスベスト除去工事が必要となる。
メリットとデメリット(除去・復旧工事)
メリット
- 除去工事以降、アスベスト工事の費用が不要となる。
デメリット
- 除去作業中の、アスベスト粉塵が舞うリスクが非常に高い。
- 煙突を再利用する場合、断熱材復旧も考慮すると、工期が掛かるため、煙突の稼働を長期間停止しなければならない。
- 煙突の長さや形状により異なるが、除去工事の費用だけではなく、除去後の断熱材復旧工事が現場ごとに受注生産を行うため、製造や取り付けに高額なコストが掛かる。
工期の比較
施工対象例
(例)煙突高さ17m、丸型内径Φ300mm、建物一体型(ストレート型)
※足場は別途、考えないものとする。
今後、煙突の使用がない場合(煙突解体予定あり)
- 石綿除去工法:9日間程度←オススメ!
- CAS工法(封じ込め):7日間程度
現段階で解体予定はなく、今後も煙突を安全に継続して使用したい場合
- 石綿除去(9日間程度)+代替被覆(30~60日間程度)=約1ヶ月~2ヶ月(長期間煙突稼動停止必須)
- CAS工法(封じ込め)=7日間程度←オススメ!!(煙突稼動停止は1日~2日程度)
※①の代替被覆は、既製品がなく各現場の煙突の寸法に合わせて受注生産を行うため、製造に約1~2ヶ月程度必要である。
(時期によっては製造日数の増減あり)
また、代替被覆設置についても分割して煙道内に入れ込み固着させるため、施工日数も必要になることから、断熱材が無い状態の煙突が長期間続くので、煙突の使用が不可となる。
①は基本的に長期間煙突の稼働停止が問題ない施設に限り、施工が可能。
※工期は煙突の仕様・現場状況および施工時期により異なります。