現状の問題と課題

アスベスト処理における現状の対策と問題点

建築物に使用されたアスベストを無害化するためには「①除去」「②封じ込め」「③囲い込み」の3つの対策が考えられます。
しかし、この3つの対策のいずれにも多岐にわたる深刻な問題があり、いずれも今後長期にわたってアスベスト問題を抜本的に解決できる対策とはなっていません。

1.除去

アスベストを使用した建築物に対してアスベスト除去作業を行う対策です。
膨大な粉塵が発生するため、作業場を厳重に囲い、集じん機やクリーンルームを設置して粉塵の飛散を防ぎ、作業員は呼吸用保護具や保護衣などを着用するなど非常に手間と時間、費用がかかるという問題があります。
さらに除去したアスベストを廃棄するにも高額なコストがかかり、処分場のキャパシティにも限界があって、今後抜本的な解決策を必要としています。

2.封じ込め

アスベストを固化して無害化するのが「封じ込め」ですが、アスベスト内部までを固化する技術は従来確立されていませんでした。
表面だけを固化しても一時しのぎに過ぎず、風化・剥落などによるアスベストの再噴出のおそれがあり、解体時にはあらためてアスベスト除去作業を行わなくてはならないという問題も残ります。

3.囲い込み

アスベストの露出部分を壁材や天井材で覆ってしまい、空気中への飛散や人体へのばく露を防ぐ方法です。
一時的な効果は期待できますが、建物内の容積が減り、また解体時にはやはりアスベスト除去作業を行わなくてはならず、根本的な解決にはつながりません。